- ウインドサーフィンのボードの修理方法が知りたい
このような疑問にお答えします。
ウインドサーフィンをしているとボードが割れたり、ヒビが入ったりすることありますよね。
持ち運ぶときにぶつけたり、強烈なブローや波で飛ばされたり、浅瀬に乗り上げたり、はたまたボラがぶつかってきたりして、前に飛ばされた経験は誰にでも少なからずあると思います。
そうなると、マストパンチでボードの先端が割れてしまうこともしばしば。
ショックですよね。
特に買ったばかりの新しいボードではショックを隠し切れないでしょう。
でも大丈夫です。
ボードの修理は、素人でもある程度はキレイにできます。
普段、私が修理している方法をご紹介しますね。
また、ボードを修理する上で、絶対に知っておきたい注意点にも触れておきます。
ショップで依頼するとお金と時間がかかるので、自分で直してみたいという方は参考にしてみてください。
ボード修理のビフォーアフター
ボードの修理方法をご紹介する前に、この記事を読むとどの程度までキレイに修理できるのか初めにご紹介します。
実際に私が修理したボードのビフォーアフターの画像となっています。
この程度のクオリティで満足できる方は、このまま読み進めてください。
いや、こんなクオリティではダメだという方はプロショップで修理依頼をすることをおすすめします。
ビフォー
まずは、修理前の状態をご覧ください。
このようにボードの先端がバキバキに割れています。
これはイケてないですね。
ダサダサです。
アフター
いかがでしょうか。
ボコボコだったボードのノーズもつるつるになりました。
素人でもこの程度であれば直せますし、それほど難しいこともありません。
ウインドサーフィンのボード修理に必要な道具
まずは、ウインドサーフィンのボードを修理するために必要な道具を揃えていきましょう。
道具さえ揃えれば、ショップに頼まなくても、ある程度はキレイに修理できますよ。
ここでは、実際に私が修理に使っている道具やイチオシの道具をご紹介します。
①紙やすり
私がイチオシするのはマジックテープの紙やすりです。
やすりは様々なタイプがありますが、マジックテープのやすりが便利ですね。
マジックテープなので、番手の交換作業がかなり楽です。
一度マジックテープのやすりを使うと、通常の紙やすりを挟んで使うタイプにはもう戻れません。
別売りの持ち手(マジックスポンジファイル)とセットで使うことをおすすめします。
持ち手の部分はクッション性が高く、曲線の部分にも馴染むのでキレイに研磨できます。
また、電動工具では削りすぎてしまうリスクがありますが、手で削ると微調整が可能なため、削りすぎてしまうリスクを大幅に削減でき、かなりおすすめです。
粗削りには以下に記載している4つの番手を揃えておけば大丈夫です。
- #80
- #120
- #240
- #400
マジックテープ付きの紙やすりは以下のページで購入することができます。
\#80/
\#120/
\#240/
\#400/
マジックスポンジファイルはこちらで購入できます。
\マジックテープで簡単取り付け/
仕上げ用には耐水ペーパーがおすすめです。
耐水ペーパーと水で研磨すれば、ボードに傷が入りにくいですね。
- #600
- #800
- #1000
#600より番手の大きな耐水ペーパーでは、お手頃なマジックテープ式が見つからなかったので、お得な耐水ペーパーのセットをご紹介します。
\仕上げには傷が入りにくい耐水ペーパー/
②電動ポリッシャー
手で研磨するのが面倒という方は、電動ポリッシャーを検討してみましょう。
初期投資にお金はかかりますが、一度道具を揃えてしまえば活躍すること間違いなしです。
ただし、取り扱いにはテクニックが必要なので慣れが必要です。
プロのリペア業者は電動ポリッシャーを使っていることが多いようですね。
こちらのタイプを使っている場合が多いです。
③ガラスクロス・カーボンクロス
ボードを修理する上で、強度を保つためにクロスを貼ります。
カーボンが使用されているボードにはカーボンクロス、ガラスクロスが使用されているボードにはガラスクロスを使います。
修理するボードが、どちらの素材なのか分からない場合は、ボードの種類から判断してみましょう。
一般的に、スラロームのボードはカーボンクロスの素材が使われていることが多く、フリーライドのボードはガラスクロスが使われていることが多いです。
ウエイブボードはカーボンとガラスクロスの両方がありますが、高価なものはカーボンクロスであることが多いです。
ですが、あまり神経質になる必要もなく、どちらを使ってもそれほど違いが分からないでしょう。
また、クロスを刻んでエポキシ樹脂と混ぜれば、エポキシパテとしても使えます。
カーボンクロス
スラロームボードや一部のウエイブボードはカーボンで修理します。
ガラスクロス
フリーライドは一般的にガラスクロスでOKです。
④マスキングテープ
マスキングテープは、研磨時と塗装時に使います。
まず、研磨時ですが、研磨したくない個所に貼っておくと、削りすぎをある程度は防げます。
これにはクリスタルテープが良いでしょう。
また、塗装時のマスキングテープは、一般的なマスキングテープで問題ありません。
簡単に剥がせるタイプを選びましょう。
⑤エポキシ樹脂
ウインドサーフィンのボードの修理には、2液性のエポキシ樹脂を使います。
私が使っているポキシ樹脂は、デキャントという商品でサーフボードの修理に人気な商品です。
ホームセンターなどで適当に選ぶと品質が悪いものがあるので、エポキシ樹脂は妥協してはいけません。
固まるまで時間がかかりますが、固まってしまえばガチガチになります。
注意点としては、スターボードで使用されているbalsa(バルサ)という木製の素材には付きが悪いです。
また、基本的にはクリアカラーですが、少し青みがかかっているように見えます。
ですが、エポキシ樹脂の上から塗装をするため特に問題はないでしょう。
ネットで手に入るものは、デキャントかToolsのエポキシ樹脂の2択ですかね。
\サーフボード修理用のエポキシ樹脂/
エポキシ樹脂の硬化温度
2液性のエポキシ樹脂を固めるために最適な温度は、一般的に20°Cから25°C(室温)です。
ただし、エポキシ樹脂の種類やメーカーによって推奨される温度が異なる場合があるため、使用する製品の取扱説明書を確認してみてください。
また、冬場などの、低温(15°C以下)では硬化が遅くなり、十分に硬化しないこともあるため、エアコンで温度調整します。
一方、高温(30°C以上)では硬化が速くなりすぎ、作業時間が短くなるため、注意が必要です。
夏場の猛暑日では、10分程で固まり始まりました。
⑥パウダーセル
エポキシ樹脂は粘度が低くサラサラして取り扱いが難しいです。
また、大きくボードが凹んだり、欠けたりした場合には、エポキシ樹脂だけでボードの形を作るのが難しいです。
そんな時は、エポキシ樹脂にパウダーセルを混ぜて、粘度を高くして使います。
そうすると、液だれが防げるためボードの形づくりが楽になります。
また、刻んだクロスを一緒に混ぜると強度が上がりますよ。
⑦割り箸
エポキシ樹脂を混ぜたり、ボードに塗ったりするために使います。
アイスキャンディーのような棒があれば最適です。
⑧透明なカップ
エポキシ樹脂を混ぜ合わせるために、透明なカップを使用します。
泡立った液を見やすいように透明なカップを準備しておくとよいでしょう。
エポキシ樹脂は、1液と2液を混ぜ合わせる際に泡立ちます。
泡をがあると、泡の個所に空洞ができて強度が落ちるため注意が必要です。
⑨重量計
エポキシ樹脂の配合には、ベース材と硬化剤の重量を正確に測ることが重要です。
正確な配分でないと、樹脂が固まりにくくなることがあります。
そのため、必ず重量を正確に測るようにしましょう。
重量計は何でもよいですが、私はコーヒーを淹れるために購入したものを使っています。
見た目がカッコイイので気に入っています。
⑩塗料
下地材、塗料、クリアコードの3つのコートをします。
塗料は2液性のウレタン塗装が、重ね塗りして膜厚も稼げて一番強度が強く仕上がりが良いです。
ですが、2液性のウレタン塗料は値段も高く、使い切りなのでコスパが悪いです。
そのため、私は、車を塗装するアクリル塗料のスプレーで妥協しています。
これなら使い切りではないため、次回の修理にも使えます。
\コスパで選ぶなら車用のアクリルスプレー/
\仕上がり重視するなら2液性のポリウレタン/
ウインドサーフィンのボードを修理する方法
さぁそれでは、ウインドサーフィンのボードを修理していきましょう。
今回はボードのノーズが割れた場合を想定した手順をご紹介します。
修理方法を一度覚えてしまえば、何度だって自分で修理できますよ。
①水抜き
ボードのノーズが割れているとボードが水を含んでいる可能性があります。
そうなるとボードが重くなるため、水抜きをして乾燥させる必要があります。
ボードを使用した後は数日間、直射日光が当たらない場所で自然乾燥させておきましょう。
②マスキング
この後にサンディングをしますが、研磨したくない個所にあらかじめマスキングテープを貼っておきます。
必ずしも必要ありませんが、念のために貼っておくと削りすぎ防止になります。
マスキングは、クリスタルテープがいいですね。
紙のマスキングテープはすぐに削れてしまいますから。
③サンディング
割れている個所の周辺を研磨します。
80~120番台の紙やすりでゴリゴリと削っていきます。
写真は、マジックテープの紙やすりです。
スポンジがクッションとなりボードの曲線にも馴染みます。
割れている個所が見えなくなるまで削ります。
④エポキシ樹脂の準備
エポキシ樹脂のベース材と硬化剤を2:1の割合で混ぜます。
重量計を使って正確に重量を測ります。
エポキシ樹脂を透明のカップに入れ、割り箸で100回混ぜ合わせます。
注意点としては、泡が立たないようにゆっくり混ぜることです。
泡立った場合、泡が消えるまで放置して待ちます。
泡があると固まった後に泡の個所が空洞になってしまい、強度が弱くなります。
⑤エポキシ樹脂の塗布
割り箸でエポキシ樹脂をボードに塗っていきます。
研磨した個所より少し大きめに塗布します。
エポキシ樹脂の量は多めに塗布しましょう。
料が少ないと空気が噛む可能性があります。
⑥クロスの貼り付け
エポキシ樹脂を塗布した個所にクロスを貼っていきます。
クロスを貼ることで強度が出ます。
⑦エポキシ樹脂の塗布
クロスの上からエポキシ樹脂を塗布します。
⑧クロスを重ねて貼る
手順⑥~⑦の作業を繰り返し、クロスを3枚程度重ねて貼ります。
強度を出すために、最低でも2枚は重ねることをおすすめします。
⑨乾燥させる
エポキシ樹脂を乾燥させます。
完全に乾燥させるためには24時間程度放置するとよいでしょう。
暖かい場所だと乾燥時間が早くなります。
⑩半乾き状態で余分なクロスや樹脂を除去
少し柔らかい状態まで乾燥したら、余分なクロスや樹脂をカッターナイフで除去します。
この作業をやるかやらないかで、この後の研磨作業に大きな影響が出ます。
完全に乾燥させてしまうと、ガチガチに硬くなり、その後の研磨が大変です。
ですので、必ず完全に乾燥する前に余分な個所は除去しておきましょう。
⑪乾燥させる
塗布してから24時間程度放置します。
そうすることによりガチガチに固まります。
⑫研磨
ボードの形に合わせて、不要な樹脂やクロスを研磨して除去してきます。
この作業をどれだけ丁寧にするかが、仕上がりの出来栄えに大きく影響してきます。
初めは、80番のペーパーで研磨して、120、240と番手を大きくして400番手まで粗削りを研磨します。
600番以降は耐水ペーパーで研磨するとキレイになります。
耐水ペーパーと水を使って研磨することで、摩擦熱を軽減し、細かい傷を防ぐことができます。
水を使うことで研磨中の粉塵も少なくなり、仕上がりがさらに滑らかになります。
最終的には1000番くらいまで細かい番手にすると仕上がりが良くなります。
⑬塗装
下地材をスプレーして乾かし、その後にメインカラー、最後にクリアで仕上げます。
場所によってはノンスリを散布するとよいでしょう。
今回はノンスリを使わず、黒の上からホワイトを少し塗布して、ノンスリ風にしてみました。
周りの色と馴染んでいます。
ボード修理の注意点
ウインドサーフィンのボードを修理する上で、めちゃくちゃ重要なことをお伝えします。
それは、ポリエステル製の樹脂を絶対に使ってはいけないということです。
なぜなら、ボードが溶けてしまうからです。
例えば、サーフィン用のサーフボードはポリエステル製の樹脂を使って直すことがありますが、同じようにウインドサーフィンのボードもポリエステル製の樹脂を使って直そうとするとボードが溶けてしまい、修理するどころか逆に壊れてしまいます。
特にサーフィンでボードのリペア経験がある方や、サーフボードのリペア方法を知っている方は十分に注意してください。
ウインドサーフィンでは、必ずエポキシ樹脂を使ってリペアをしましょう。
ウインドサーフィンのボード修理まとめ
この記事では、ウインドサーフィンのボードを自分で修理する方法について解説してきました。
修理のポイントをおさらいしましょう。
- ポリエステル樹脂ではなくエポキシ樹脂を必ず使う
- 混ぜ合わせる際には、1:2の比率となるように正確に重量を測定する
- 泡が出ないようにゆっくり混ぜる
- 泡が抜けるまで放置する
- 研磨の仕上げは耐水ペーパーがキレイに仕上がる
道具さえそろえば、時間はかかりますが、自分でもある程度はキレイに修理できます。
さぁ、あなたも道具を揃えて自分で修理をしてみましょう。
ウインドサーフィンのセイルの修理方法は以下の記事を参考にしてみて下さい。
ウインドサーフィンのシートを交換する場合は、以下の記事でシートの選び方をご紹介しています。
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